【株式投資のヘッジ手段として債券はどれくらい有能なのか?】元証券マンが徹底解説

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今回は、株式投資におけるヘッジ手段としての債券の有効性について、元証券マンの視点から詳しく解説していきます。

債券投資への関心の高まり

最近、債券投資へのお問い合わせが増えています。その背景には、アメリカの長期金利の上昇があります。アメリカ10年債利回りは、昨年9月には3.6%台でしたが、今年1月には一時4.8%まで上昇しました。この金利上昇により、債券の投資妙味が増しているのです。

リスクオフの動きも

また、最近では円高・株安の状況を見て、リスクオフの備えとして債券を検討する人が増えています。以前は利回り重視の積極的な検討が多かったのですが、今は保守的な守りの検討が増えているようです。

株式市場の現状

現在の株式市場は、歴史的な割高圏にあります。S&P500の益利回りは、米国10年債利回りを下回っており、イールドスプレッドがマイナスの状況です。これは極めて異例であり、株式のリスクに見合うリターンが得にくい状況と言えます。

債券の種類と特徴

債券には、大きく分けて投資適格債と投資不適格債(ジャンク債)があります。

  • 投資適格債: 一般的にイメージされる債券で、信用力が高く、安定的な運用に向いています。
  • 投資不適格債(ジャンク債): 株式に近い性格を持ち、ハイリスク・ハイリターンを狙うことができます。

株価下落時に頼りになるのは、一般的に投資適格債です。中でも、米国債は世界中の投資家から安全資産とみなされており、リスクフリーレートの基準となっています。

米国債の種類とデュレーション

米国債には、残存期間によって短期債、中期債、長期債、超長期債といった種類があります。

  • 短期債: 残存期間が数年以内
  • 中期債: 残存期間が10年前後
  • 長期債: 残存期間が20年前後
  • 超長期債: 残存期間が30年以上

債券の価格は、金利と逆相関の関係にあります。金利が下がると債券価格は上がり、金利が上がると債券価格は下がります。この金利変動に対する債券価格の変動幅は、デュレーション(残存期間)が長いほど大きくなります。

債券ETFの活用

債券投資には、ETF(上場投資信託)を活用する方法があります。米国債関連のETFには、以下のようなものがあります。

  • SHY: 残存1-3年の米国債
  • VGIT: 残存3-10年の米国債
  • IEF: 残存7-10年の米国債
  • TLT: 残存20年超の米国債
  • EDV: 残存20年超のゼロクーポン債

過去のクラッシュ時の債券の動き

過去のリーマンショックやコロナショック時には、長期債ETFが株式下落時のヘッジとして機能しました。

  • リーマンショック: S&P500が約60%下落する中、長期債ETFは約40%上昇
  • コロナショック: S&P500が約40%下落する中、長期債ETFは約40%上昇

株式と債券の分散投資

株式と債券を両方持つことで、分散効果が期待できます。株式と債券のリターンの相関係数はマイナスであることが多く、株式が下落した時に債券が上昇することで、ポートフォリオ全体の安定化につながります。

まとめと注意点

株価下落時には、債券が頼りになることが多いと言えます。特に、過去の統計上は長期債が有効なヘッジ手段となっています。

ただし、注意点もあります。

  • スタグフレーション: 景気後退とインフレが同時に起こるスタグフレーション時には、株式と債券が同時に下落する可能性があります。
  • 円高リスク: 株価急落時や景気後退時には円高が進む可能性があり、外貨建て資産の価値が目減りする可能性があります。

最後に

株式投資におけるヘッジ手段としての債券の有効性について解説しました。債券は、ポートフォリオのリスク分散に役立つ有効な選択肢の一つです。今回の情報を参考に、ご自身の投資戦略に役立てていただければ幸いです。


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